“噛む”ことが健康法になる理由

先日開催された講演「食べること 生きること〜口から始める健康管理〜(訪問歯科診療・五島朋幸先生)」。テンポのあるイキイキとした五島先生の言葉に会場は引き込まれていきました。そんなお話を「国際中医薬膳管理師会の会報誌「薬膳Oasis(2019年秋号)」に掲載していただきました。

口から始める…健康管理、というとピンとこない方もいらっしゃるかと思うのですが、たいせつなことなので15YAでも少し触れておきます。お時間のあるときにきらくに読んでみてくださいね。

カム(咀嚼:ソシャク)って何?
「飲みこめる形にすること」です。年を重ねてゆくと、まず食べ物を認知するチカラが弱くなります。次にカム刺激が弱まり、やがて”カムチカラ”は止まります。歯がなくてもカムチカラがあれば飲みこむことはできるけれど、義歯(イレバ)をつけていても”カムチカラ”がないと、飲みこむ形にすることができないので、飲みこむことはできません。カムことは、脳を50%も使う運動です。

「私には、少し先のお話かな」って思いますか?でも、そうでもないんです。ケガをしたり、病気になったときに”カムチカラ”が弱まることもあれば、ご家族には真っ只中のお話かもしれません。

〜カムことに必要なもの〜
①歯(または義歯)
②カムチカラ
③食べ物を認知する能力(口腔認知)
④頬(ほっぺ)や舌の動き/こぼれないようにする役割
⑤唾液(つば)

飲みこむこと(嚥下:エンゲ)に必要なものって何?
僧帽筋(首から背中に広がっている大きな筋肉)が硬くなると、飲むチカラは弱まります。姿勢の悪さや寝たきりという状態も、僧帽筋を硬くします。

”カム””飲みこむ”ために重要になるのが「正しい姿勢」です。体力や気力が弱まっていて、自分で体を起こしてご飯を食べることができないときは、クッションなどを支えにするだけでも、カミやすくなりますよ。これは、子どもも同じです。

〜飲みこむことに必要なもの〜
①口腔認知
②嚥下反射
③嚥下力
④首を中心とした組織
⑤呼吸コントロール
⑥正しい姿勢
*中でも重要なのが、正しい姿勢です。

胃瘻(イロウ)って何?
胃に栄養を直接おくる(摂取する)方法です。イロウを用いるときは、どんなときでしょう…カムことが難しいとき?それとも、飲みこむことが難しいとき?どちらの場合も用いる???

食べる→食べ物をカム→食べ物が細かくなる→飲みこむ…

飲みこめなければ、体に栄養を届けられません。なので、”飲みこむことが難しい”ときは、イロウを用いることになります。

では、”カムことが難しいとき”はどうでしょう。カムことができない…でも、飲みこむことはできるかも。カムことが難しいときは、お水など水分を飲んでみて…ゴックン ゴックンと飲みこめたのなら、飲みこむチカラはある。であれば、たいせつなのは“イロウ”ではなく”カムチカラ”をつけることなので、歯医者さんに口腔環境整備や口腔ケアの相談をしてみましょう。

高齢者の飲み込みが難しくなる原因
高齢になると運動をあまりしない→お腹が減らない→食欲が低下する→カムことが減るといったことや病気なども原因にあります。

最期まで口から食べられるために
毎食のモグモグ カムカムが、自分のカムチカラを保ち、最期まで口から食べることにもつながってゆく、というわけです。

そうそう、高齢者で義歯(イレバ)を持ってはいるけれど、つけていないと言う方は少なくないそう。「外出の時は(義歯を)するけれど、家ではめんどう」「退院後につけてみたら(義歯が)合わなくなった」などの理由があるようです。でもね、義歯は5日も付けていなければ合わなくなるんですって。

歯茎でも少しはカムことはできるけれど、厚さや大きさのある食べ物を飲みこみやすい形にまでカムことはできない…つまり、食べるものが限られてくるので、カタヨってくゆくですね。体の調子も…ということです。

 モグモグ カムカム
今日から家族で、はじめましょう。